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統計・定理・標本分布と極限定理
「どんな分布であっても、平均から大きく外れる確率はそれほど大きくない」と保証してくれる不等式です。分布の形が分からなくても、平均と分散さえ分かれば『外れ確率の上限』が言える、汎用性の高い道具です。
平均 から より外側(両端の塗り)に出る確率を表す。チェビシェフの不等式は、この確率が分布によらず 以下に抑えられることを保証する。
任意分布で平均からのはずれを抑える不等式。必要標本数の保証に使える。
チェビシェフの不等式は、平均 ・標準偏差 をもつ任意の分布について
不等式
(
ある分布の平均 、標準偏差 。値が 未満または 超(=平均から
チェビシェフの不等式の式は?
チェビシェフの不等式が使える分布は?
のときチェビシェフが与える上限と、正規分布での実際の確率の関係は?
汎用性の代償として、この上限はかなり緩い(実際の確率よりずっと大きい上限を与えることが多い)という点に注意が必要です。例えば のとき、チェビシェフは「平均から 以上はずれる確率は 以下」としか言いません。ところが、もし分布が正規分布だと分かっていれば、実際に 以上はずれる確率は約4.6%(=、68–95–99.7則)に過ぎません。25%という上限は、実態の約4.6%と比べてかなり緩い保証なのです。 でもチェビシェフの上限は ですが、正規分布の実際の裾は約0.3%です。
それでも価値があるのは、分布が分からない状況で『最悪でもこのくらい』という安全側の保証が得られるからです。例えば大数の法則の証明や、「平均から 以内に収めるには標本がいくつ必要か」という必要標本数の見積もりに使えます(分布によらず保証できるので安心して使える)。緩いぶん、必要標本数を多めに(安全側に)見積もることになります。
分布によらない
形を一切仮定せず、平均と分散が有限ならどんな分布にも使える汎用の不等式。
上限が緩い
汎用な代わりに上限は甘い。 で上限25%(正規の実際は約4.6%)、 で上限約11%(正規は約0.3%)。
大数の法則の道具
に当てはめると 。弱法則の証明の核。
必要標本数の保証
平均から 以内に高確率で収めるのに必要な を、分布によらず安全側に見積もれる。
チェビシェフとCLT正規近似の直接対決(同一問題での比較)
チェビシェフの不等式とCLTによる正規近似を同じ問題で両方使わせ、必要な標本数(試行回数)を比較させる出題がある。2021年度問題1(5):ある得点差の絶対値が0.5以下となる確率が95%以上となる最小ゲーム回数を、チェビシェフの不等式を使うと、CLTで正規近似するとと求まり、チェビシェフの上限の緩さ(必要なが5倍以上に膨らむ)が具体的な数値で実感できる。
。
分布の形に関わらず25%以下と言える(正規分布なら実際は約4.6%とずっと小さい)。