ブラウン運動とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass確率・用語・確率過程
ひとことで言うと
時刻とともにランダムに位置が動く『粒子の軌跡』を表すモデルです。次の瞬間どちらにどれだけ動くかは完全にランダムで、しかも過去の動きとは無関係(独立増分)。株価変動や物理の分子運動の土台になる確率過程です。
標準ブラウン運動の見本路(サンプルパス)。B₀=0から出発し、確率1で連続だが至る所微分不可能なジグザグな経路を描く。分散はtに比例して広がる。
数式で表すと
Bt−Bs∼N(0,t−s),Cov(Bs,Bt)=min(s,t) 標準ブラウン運動 {Bt}t≥0 は、次の4つの性質で特徴づけられる確率過程です。
① B0=0
試験に出る性質
独立増分性
重ならない区間の増分は互いに独立。過去の経路を知っても将来の増分の分布は変わらない。
定常増分性(分散=t-s)
Bt−Bs∼N(0,t−s)
例で見る
標準ブラウン運動 B2,B4 について E[B2B4]
つまずきポイント
- Bt2 をそのままマルチンゲールと思ってしまう(正しくは Bt2−t)
- 増分の分散を t
定着クイズ
Q1標準ブラウン運動 {Bt} (B0=0) について、B3−B1 が従う分布は?
Q2標準ブラウン運動について、Cov(B2,B5) の値は?
Q3標準ブラウン運動 {Bt} に関する記述のうち、正しいものは?
標準ブラウン運動 {Bt}t≥0 は、B0=0・独立増分性(互いに素な区間の増分が独立)・定常増分性(増分 Bt−Bs が N(0,t−s) に従う)・標本路の連続性(ただし至る所微分不可能)を満たす連続時間の確率過程。共分散は Cov(Bs,Bt)=min(s,t)。Bt2自体はマルチンゲールでないが、Bt2−tはマルチンゲールになる点が頻出の引っ掛け。
② 独立増分性:互いに重ならない区間の増分は独立(
のとき
と
は独立)
③ 定常増分性:増分の分布は区間の長さのみで決まり、
Bt−Bs∼N(0,t−s)
が成り立つ(出発点によらない)
④ 標本路の連続性:確率1で連続な経路を描くが、至る所で微分不可能(有限変動でない)
共分散は Bt=Bs+(Bt−Bs) と分解し独立増分性を使うと導出でき、
Cov(Bs,Bt)=min(s,t)
となる(s<t のとき Cov(Bs,Bt)=V[Bs]=s)。
頻出の引っ掛けとして、Bt2 自体はマルチンゲールにならない点がある。正しくは
Mt=Bt2−t
がマルチンゲールで、E[Mt∣Fs]=Bs2−s=Ms が成り立つ。
。区間の長さだけで分布が決まる。
共分散 min(s,t)
Cov(Bs,Bt)=min(s,t)。s,tの積ではない点に注意。
マルチンゲール性
Bt自体、およびBt2−tがマルチンゲール。Bt2はマルチンゲールでない。
標本路の性質
確率1で連続だが、至る所微分不可能(有限変動を持たない)。
を求める。
B4=B2+(B4−B2)
E[B2B4]=E[B22]+E[B2]E[B4−B2]=2+0=2
これは公式 Cov(Bs,Bt)=min(s,t) に s=2,t=4 を代入した結果(min(2,4)=2)と一致する。
や
など片方だけの値にしてしまう(正しくは
)
E[BsBt] を s×t(分散の積)で計算してしまう(正しくは min(s,t)。独立でないため積は使えない)