投資理論・定理
ひとことで言うと リスク中立確率 q を求めれば、コール・プット・その他どんな派生商品でも「q で期待値を取って無リスク利子率で割り引くだけ」で価格が出る。2 状態モデルの核心的な計算テクニック。
1期間二項モデル。確率qはリスク中立確率(実際の確率ではなく無裁定を成立させる仮想確率)。 S₀ 現在 uS₀ 上昇 dS₀ 下落 確率 q 確率 1−q $q = [(1+r_f) - d] / (u - d)$
リスク中立確率 q を求め(q の公式参照)、コール等のペイオフを q で期待値を取り、無リスク利子率で割り引けば現在価格が得られる。
数式で表すと q = ( 1 + r f ) − d u − d q = \frac{(1+r_f) - d}{u - d} q = u − d ( 1 + r f ) − d ( u u u :上昇倍率、 d d d :下落倍率)
2状態モデルでリスク中立確率 q を求め、オプション等の価格を E^Q[payoff]/(1+rₓ) で計算する。二項モデルの核心。
2 状態モデルでのリスク中立価格付けの手順:
① 無裁定から q u = [ ( 1 + r f ) − d ] / ( u − d ) q_u = [(1+r_f) - d]/(u-d) q u = [( 1 + r f ) − d ] / ( u − d ) 、 q d = 1 − q u q_d = 1-q_u q d = 1 − q u を求める。
② 各状態でのペイオフ C u C_u C u (上昇時)・ C d C_d C d (下落時)を計算。
③ 現在価格 P 0 = ( q u C u + q d C d ) / ( 1 + r f ) P_0 = (q_u C_u + q_d C_d) / (1+r_f) P 0 = ( q u C u + q d C d ) / ( 1 + r f ) 。
この方法の強みは「実際の上昇確率を知らなくても」価格が計算できる点。投資家のリスク選好も不要。
多期間モデルでは後ろ(満期)から前(現在)へ向かってノードごとに同じ計算を繰り返す(後向き帰納)。 試験に出る性質 デルタヘッジとの等価性
リスク中立価格付けは「デルタだけ株式を保有してリスクを消す複製ポートフォリオを作る」方法と数学的に等価。どちらの方法でも同じ価格が得られる。
多期間では各ノードで繰り返し計算
n 期間では 2 n 2^n 2 n の最終ノードのペイオフから出発し、後向き帰納(各ノードで同じ式)で現在価格を求める。
q は $r_f$・$u$・$d$ だけで決まる
実際の発生確率・投資家のリスク回避度は不要。市場のパラメータのみで価格付けが完結する。
例で見る 現在株価 S 0 = 100 S_0=100 S 0 = 100 、1 期後に u = 1.2 u=1.2 u = 1.2 ( S u = 120 S_u=120 S u = 120 )または d = 0.9 d=0.9 d = 0.9 ( S d = 90 S_d=90 S d = 90 )、 r f = 5 % r_f=5\% r f = 5% (1 期間)。行使価格 K = 100 K=100 K = 100 のコール: q u = ( 1.05 − 0.9 ) / ( 1.2 − 0.9 ) = 0.15 / 0.30 = 0.5 q_u=(1.05-0.9)/(1.2-0.9)=0.15/0.30=0.5 q u = ( 1.05 − 0.9 ) / ( 1.2 − 0.9 ) = 0.15/0.30 = 0.5 、 q d = 0.5 q_d=0.5 q d = 0.5 。 C u = 20 C_u=20 C u = 20 、 C d = 0 C_d=0 C d = 0 。コール価格 = ( 0.5 × 20 + 0.5 × 0 ) / 1.05 ≈ 9.52 = (0.5 \times 20 + 0.5 \times 0)/1.05 \approx 9.52 = ( 0.5 × 20 + 0.5 × 0 ) /1.05 ≈ 9.52 。
つまずきポイント u u u ・ d d d は株価の「倍率」。上昇 20% → u = 1.2 u=1.2 u = 1.2 、下落 10% → d = 0.9 d=0.9 d = 0.9 。「u=0.2、d=-0.1」(収益率)ではない。 「コール価格 = E Q [ max ( S T − K , 0 ) ] / ( 1 + r f ) = E^Q[\max(S_T-K, 0)]/(1+r_f) = E Q [ max ( S T − K , 0 )] / ( 1 + r f ) 」の E Q E^Q E Q はリスク中立確率のもとでの期待値。実際の発生確率ではない。 定着クイズ S 0 = 100 S_0=100 S 0 = 100 、 u = 1.1 u=1.1 u = 1.1 、 d = 0.9 d=0.9 d = 0.9 、 r f = 5 % r_f=5\% r f = 5% (1期間)のとき、リスク中立確率 q u q_u q u はいくらか。
0.6 0.65 0.75 0.80
上記( q u = 0.75 q_u=0.75 q u = 0.75 、 q d = 0.25 q_d=0.25 q d = 0.25 )で、行使価格 K = 100 K=100 K = 100 のコールオプション( S u = 110 S_u=110 S u = 110 、 S d = 90 S_d=90 S d = 90 )の現在価格として正しいものはどれか(小数第 2 位まで)。
7.14 8.50 10.00 7.50
リスク中立価格付けの特長として正しいものはどれか。
実際の株価上昇確率を正確に予測できないと価格計算ができない 投資家のリスク回避度を知らなくても、u・d・ r f r_f r f のみで価格が計算できる リスク中立価格付けで得た価格はデルタヘッジ法と異なる値になる 多期間モデルでは各期間で別々のリスク中立確率を使わなければならない