加入年齢方式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政方式の体系
ひとことで言うと
特定の年齢で加入した人が、加入から定年まで一定の保険料を払い続けたらちょうど給付をまかなえる——その一定額を計算し、全員に同じ率を適用する方式。日本の確定給付企業年金でいちばん使われている。
加入年齢方式では加入時点で収支を相等させるため、責任準備金は加入年齢で0から始まり、定年到達時には年金現価に一致する。
数式で表すと
P=GaSa (特定加入年齢 a で決める) 加入年齢方式は、本試験の共通前提で「特定年齢方式」のことと定義されている。手順は3段である。
(1)特定の加入年齢 xe を1つ決める
(2)その年齢で加入した人について、加入時点で収支が相等するように保険料を決める
(3)決めた保険料(率)を全員に適用する
(2)の収支相等は
(保険料収入現価)=(給付現価)
すなわち
EP=GxeSxe
試験に出る性質
加入年齢方式の標準保険料は加入時点の収支相等で決まる
EP=Sxe/Gxe
例で見る
<計算の前提>
・加入年齢 57歳、定年年齢 60歳、予定利率 2.0 パーセント
・残存数 l57 は 1,000、l58 は 900、l59 は 800、l60 は 700
・定年到達者に 60 歳から年金額 1 の終身年金を年1回期初払い、a¨60=10
<諸数値>
・S57=6.5963
つまずきポイント
- 「加入年齢方式」は各人の実際の加入年齢で計算する方式ではない。特定の1つの年齢で決めた率を全員に使う。
- 保険料は定年年齢の前年まで払う。人数現価・給与現価の和を xr まで足すと1年多くなる。
- 諸数値表から EP を出すときに (SFSa+Sf)/(Ga+Gf)
定着クイズ
Q1年金受給権者の給付現価、在職者の過去期間分・将来期間分の給付現価、将来加入見込者の給付現価と給与現価だけが与えられているとき、加入年齢方式の標準保険料率を取り出す式として正しいものはどれか。
Q2加入年齢方式における加入年齢時点の責任準備金として正しいものはどれか。
Q3加入年齢57歳における1人あたり給付現価が 6.5963、人数現価が 2.6513 の制度で、加入年齢方式の1人あたり定額標準保険料に最も近いものはどれか。
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特定の加入年齢の人が加入時から定年まで平準に払うとして標準保険料率を決め、その率を全員に適用する方式。日本の確定給付企業年金で最も使われる。
である。分母が人数現価なら1人あたりの額、給与現価なら給与に掛ける率が出る(NEN042 と同じ構造)。
(2)の定義から Sxe−EPGxe=0、つまり Vxe=0 である。以後は給付現価の伸びが保険料収入現価の減りを上回るので責任準備金は増えていき、どの年齢でも負にならない。これは加入年齢方式のいちばん扱いやすい性質で、開放基金方式との差がここに出る。
本試験が Sp・SPSa・SFSa・Sf・Ga・Gf の表だけを与えて加入年齢方式を計算させる年度がある。この表には Sxe も Gxe も直接は載っていない。使うのは次の等式である。
EP=GfSf
将来加入が見込まれる被保険者は全員が同じ加入年齢で入ってくるので、その集団については加入時の収支相等がそのまま成り立つ。したがって将来加入見込者分の給付現価と保険料収入現価は一致する。2025年度問題1(6)はこの1行を知らないと手が出ない。
V=(Sp+SPSa+SFSa)−EPGa
将来加入見込者の分は両側から同時に消えるので入れない。未積立債務は U=V−F である。
EP=∑xDx∑xUPxDx
すなわち年齢別保険料 UPx を Dx で加重平均したものである。この見方は開放基金方式(lx で加重平均)との違いを1行で説明してくれる。
。この定義から加入年齢時点の責任準備金は必ず0になり、以後どの年齢でも負にならない。H29年度問題4(3)は「1人あたりの責任準備金が0以上である最小の年齢」を問い、加入年齢方式の答は加入年齢そのもの(20歳)である。
諸数値表しか与えられないときは EP=Sf/Gf で取り出す
将来加入が見込まれる被保険者は全員が加入年齢で入るので、その集団については給付現価と保険料収入現価が相等する。2025年度問題1(6)は Sf=15,200・Gf=95,000 から標準掛金率 16.0 パーセントを得るところから始まる(5点)。
責任準備金に将来加入見込者分は入れない
V=(Sp+SPSa+SFSa)−EPGa。将来加入見込者は給付現価も保険料収入現価も同額なので相殺され、責任準備金には現れない。開放基金方式では相殺の起き方が違う(NEN034)ので、方式を確認してから式を立てる。
年齢別保険料の Dx 加重平均になっている
EP=∑UPxDx/∑Dx。H29年度問題4(1)①②はこの形を穴埋めさせる。Dx=vxlx は高齢ほど小さいので若年に重みが寄り、lx で平均する開放基金方式より低い保険料になる。
特定年齢方式なので、実際の加入年齢とは無関係に同じ率を全員に適用する
本試験の共通前提が「加入年齢方式とは特定年齢方式のことをいう」と毎年明記している。2023年度問題2(2)(イ)は、特定年齢と異なる年齢の新規加入者が入ったときに不足金が発生することを問う(3点)。
、
G57=2.6513
・UP57=2.19875、UP58=2.49192、UP59=2.85948
(1)加入年齢方式の標準保険料は、加入年齢57歳の収支相等から
EP=G57S57=2.65136.5963=2.4879
(2)これを UPx の Dx 加重平均としても検算できる。D57:D58:D59=1,000:882.35:768.94 なので
1000+882.35+768.942.19875×1000+2.49192×882.35+2.85948×768.94=2,651.296,596.27=2.4879
一致する。加入年齢方式の保険料は年齢別保険料の平均であり、若い年齢に重みが寄っている(Dx は vxlx なので高齢ほど小さい)。
(3)責任準備金は将来法で V58=S58−EPG58=7.4758−2.4879×1.8715=2.8197、V59=8.5784−2.4879×1=6.0905。V57=6.5963−2.4879×2.6513=0 である。
を使わない。それは開放基金方式の式である。
責任準備金が0以上になる最小年齢を問われたら、加入年齢方式では加入年齢そのものが答になる(Vxe=0 なので)。