平準積立方式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政方式の体系
ひとことで言うと
加入から定年までの保険料を毎年同額にならす方式。加入年齢方式の原型で、給付現価を人数現価で割るだけで保険料が決まる。積立金は「これまでに払った保険料の元利合計」になるが、この元利合計は利息だけでは足りない。
保険料は毎年同額だが、積立金は利息と生存者利得の両方で増えるので加速して伸びる。60歳直前の6.091が給付現価8.578に届かない差が、最後の保険料でちょうど埋まる。
数式で表すと
P平準=a¨a:r-aSa (1人あたり) 平準積立方式は、加入から定年までの保険料を毎年同額にならす方式である。加入時点で収支相等が成り立つように定めるので、1人あたりの保険料は
LP=GxeSxe
試験に出る性質
1人あたり保険料は加入時点の給付現価を人数現価で割る
LP=Sxe/Gxe
例で見る
<計算の前提>
・B1・B2 と同じトイモデル。S57=6.5963、G57=2.6513
つまずきポイント
- 「元利合計」を (1+i) の累乗だけで作らない。脱退者の残した分(生存者利得)が抜ける。
- LP の分母は給与現価ではなく人数現価である。Trowbridge モデルでは給付が定額なので人数で割る。
- 平準積立方式と加入年齢方式は保険料の式が同じだが、概念としては別物である。加入年齢方式は制度発足時にすでに在職している人の扱い(過去期間分)まで含めて定義される。
- 積立金が加入時積立方式に「次いで」厚いのであって、同じではない。差は在職者の未払込分にあたる。
定着クイズ
Q1平準積立方式の1人あたり保険料 LP を表す式として正しいものはどれか。
Q2平準積立方式の積立金に含まれる「在職者の過去の保険料の元利合計」を計算するとき、正しい繰り上げ方はどれか。
Q3加入20歳・定年60歳・i=2.0 パーセント・被保険者200人・年間給付額200の定常状態の制度がある。加入時積立方式の保険料総額が101、Gf=9,138.59 のとき、平準積立方式で定常状態となるために必要な積立金に最も近いものはどれか。
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加入から定年までの保険料を平準(毎年同額または同率)にする方式。加入年齢方式の原型で、給付現価を加入時点の年金現価(人数現価・給与現価)で割って求める。
となる。分子は加入時点の給付現価、分母は加入時点の人数現価である。これは加入年齢方式の標準保険料 EP とまったく同じ式で、平準積立方式は加入年齢方式の原型にあたる。
積立金は在職者がこれまでに払った保険料の元利合計と年金受給権者の給付現価の合計になる。
F=Sp+∑xlx⋅LP⋅Dx∑y=xex−1Dy
2025年度問題1(5)(エ) はこの記述を正しいものとして出している。
ここが最大のつまずきポイントである。LP を (1+i) で繰り上げるだけでは足りない。Trowbridge モデルでは中途脱退者に給付がないので、脱退した人が置いていった積立金が残った人に配分される。したがって正しい繰り上げは基数を使った
Dx∑y=xex−1Dy
であって ∑(1+i)x−y ではない。この差は生存者利得と呼ばれ、在職期間が長いほど、脱退率が高いほど大きくなる。
上の元利合計は、将来法で書いた責任準備金 Sx−LPGx と一致する。過去法と将来法が一致するのは加入時点で収支相等が成り立っているからで、B1 の責任準備金の議論がそのまま使える。
。加入年齢方式の標準保険料とまったく同じ式で、平準積立方式は加入年齢方式の原型にあたる。定常状態では
でも同じ値になる。
積立金は在職者の過去の保険料の元利合計と年金受給権者の給付現価の合計
2025年度問題1(5)(エ)はこの記述を正しいものとして出題している(1点)。単位積立方式が「給付側から」測るのに対し、平準積立方式は「保険料側から」測っている点が対比になる。
「元利合計」は基数で繰り上げる。利息だけでは足りない
正しくは ∑y=xex−1Dy/Dx であって ∑(1+i)x−y ではない。Trowbridge モデルでは中途脱退者に給付がないので、脱退者の積立金が残った人に配分される(生存者利得)。トイモデルでは差が1,025になる。
過去法の元利合計は将来法の責任準備金と一致する
LP∑yDy/Dx=Sx−LPGx。加入時点で収支相等が成り立っているためで、B1 の将来法・過去法の議論がそのまま使える。片方で計算してもう片方で検算するのが安全。
積立金は加入時積立方式に次いで厚い
加入時積立方式が「加入時に全額」を積むのに対し、平準積立方式は在職期間にわたって分割して積むので、その途中経過のぶんだけ薄くなる。2016年度問題1(5)は加入時積立方式から平準積立方式への変更で必要な積立金を問うた(5点)。
・l57=1,000、l58=900、l59=800、B=8,536.59、d=0.0196078
LP=6.5963/2.6513=2.487944
LC=(1,000+900+800)×2.487944=6,717.45
F=(8,536.59−6,717.45)/0.0196078=92,775.95
58歳の1人が57歳の1年間に払った 2.487944 の年金数理的な終価は
2.487944×D58D57=2.487944×9001.02×1,000=2.8197
である。59歳なら2年分で 6.0905。したがって在職者分は
900×2.8197+800×6.0905=7,410.09
年金受給権者分 85,365.85 を足すと 92,775.95 で(2)と一致する。
2.487944×1.02=2.5377、2.487944×(1.02+1.022)=5.1262 で計算すると在職者分は 6,384.86 にしかならず、合計は不足する——91,750.71 となり 1,025 足りない。この 1,025 が脱退者の置いていった分(生存者利得)である。
加入20歳・定年60歳・i=2 パーセント・被保険者200人・年間給付額200・InC=101・∑x=2059Dx=123 が与えられ、加入時積立方式から平準積立方式へ変更したときに必要な積立金を問う。
・Sf=InC/i=101/0.02=5,050
・Gf=(1/i)(1+i)40−20∑Dx=50×1.48595×123=9,138.59
・LP=Sf/Gf=0.552602
・FL=(200−200×0.552602)/d=4,563.46
公式解の(I)4,500 と一致する。将来加入見込者の量だけで1人あたり保険料が決まるのは、定常状態ではどの世代を切り取っても同じ形になるからである。