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会計・公式・負債・純資産・企業結合
社債は「会社の借金の証書を細かく分けて売ったもの」。額面100円の証書を95円で売れば、会社は95円しか受け取らないのに満期には100円返す。この5円は、表面上のクーポンとは別に会社が負担している利息である。だから会計では、5円を満期までの各年度に配って利息として費用にしていく。この「毎年いくらずつ配るか」が償却原価法で、試験で問われるのはほぼこの1点である。
割引発行なら帳簿価額は毎期増え、打歩発行なら毎期減り、いずれも満期に額面金額へ到達する。各期の社債利息は期首の償却原価に実効利子率を掛けて求める。
会社が資金調達のために発行する債券で、発行会社にとっては負債。会社法で発行が認められているのは普通社債・転換社債・新株予約権付社債の3種類。発行価額と額面金額が異なり、その差額が金利の調整と認められる場合は、償却原価法(利息法が原則、継続適用を条件に定額法も可)により償還期限に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減し、その加減額を社債利息に含める。
1. 会社法上の社債は3種類
会社法で発行が認められた社債は、普通社債・転換社債・新株予約権付社債の3つである。資産の流動化に関する法律にもとづく特定社債は、会社法上の社債の分類には入らない。以下では普通社債の処理を扱う(転換社債の一括法・区分法は別の概念で扱う)。
2. 発行価額と額面金額の関係
・平価発行……発行価額=額面金額 ・割引発行……発行価額<額面金額(額面100円につき95円で発行、など) ・打歩発行……発行価額>額面金額
発行時は、払込金額をそのまま社債(負債)に計上する。額面金額で計上するのではない。
3. 償却原価法
発行価額と額面金額の差額が金利の調整と認められる場合に限り、償却原価法を適用する。差額を償還期限までの各期に配分し、社債の帳簿価額に加減するとともに、同額を社債利息に含める。
適用方法として認められているのは利息法と定額法の2つだけで、利息法が原則である。定額法は継続適用を条件とする容認処理にすぎない。繰延法・定率法・級数法は認められていない。
4. 利息法の計算
利息法では、各期の社債利息を次のように計算する。
このうちクーポンとして実際に支払う額(額面残高×約定利子率)を超える部分が、社債の帳簿価額に加算される。この加算額を費用調整額という。割引発行なら帳簿価額は毎期増えて満期に額面へ到達し、打歩発行なら毎期減って満期に額面へ下りてくる。
会社法で発行が認められた社債は、普通社債・転換社債・新株予約権付社債の3種類である
2023年度問題2(3)で「会社法で発行が認められた社債に含まれているのは」として、転換社債・特定社債・新株予約権付社債の3つが並べられ、正解は転換社債と新株予約権付社債の2つだった。特定社債は資産の流動化に関する法律にもとづく社債で、会社法上の分類には入らない。
償却原価法として認められているのは利息法と定額法の2つだけで、利息法が原則である
2019年度問題2(5)で利息法・繰延法・定率法の3つが並べられ、解答例は「ア.利息法および定額法のみが認められている」と明示している。繰延法・定率法・級数法はいずれも誤りの肢として使える形なので、認められる2つを名指しで覚える。
利息法による各期の社債利息は、期首の償却原価に実効利子率を掛けて求める
額面に約定利子率を掛けたクーポン額ではない。2021年度問題4(4)の解答例は(953,000+11,214+11,640−200,000)×3.8%=29,482 と、償還後の償却原価に実効利子率を掛けている。
分割償還がある場合は、償還した期の期末に償却原価から償還額を差し引いてから翌期の利息を計算する
2021年度問題4(4)は6年債で2年目末から毎年200,000千円ずつ5回償還する設定だった。償還前の2期分は費用調整額を積み上げ、償還後の残高に実効利子率を掛ける。この順序を逆にすると答えが合わない。
買入償還の社債償還損益は、減額する社債の帳簿価額から買入代価と取り崩す社債発行費を差し引いて求める
2022年度問題5(4)の解答例は 4,862 − 4,795 − 43 = 24。帳簿価額は額面でも発行価額でもなく、買入直前の償却原価(に発行費の未償却残高を対応させたもの)である。
社債の額面と発行価額の差額は繰延資産にならず、社債発行費のみが繰延資産になる
2019年度問題2(4)は繰延資産5項目(株式交付費・社債発行費等・創立費・開業費・開発費)を問い、社債発行差金は含まれないことを確認している。社債発行費は社債の償還までの期間にわたり利息法で償却する。
例1:利息法の3年ロールフォワード(割引発行)
額面10,000円、発行価額9,600円(額面100円につき96円)、期間3年、約定利子率年4%、実効利子率年5.5%とする。
(1) 1年度目
社債利息 = 9,600 × 5.5% = 528
クーポン = 10,000 × 4% = 400
費用調整額 = 528 − 400 = 128 → 帳簿価額 9,600 + 128 = 9,728
(2) 2年度目
社債利息 = 9,728 × 5.5% = 535
費用調整額 = 535 − 400 = 135 → 帳簿価額 9,728 + 135 = 9,863
(3) 3年度目
社債利息 = 9,863 × 5.5% = 542
費用調整額 = 542 − 400 = 142 → 帳簿価額 9,863 + 142 = 10,005
3年で額面10,000円にほぼ到達する(端数は最終年度で調整する)。定額法なら費用調整額は毎年 400÷3 ≒ 133 の一定額で、初年度は利息法のほうが小さく、後年ほど大きくなる。
例2:買入償還の損益
上の社債について、2年度目の期首に半分(額面5,000円分)を額面100円につき97円で買い入れて消却したとする。社債発行費はないものとする。
買入代価 = 5,000 × 97 ÷ 100 = 4,850
減額する帳簿価額 = 9,728 ÷ 2 = 4,864
社債償還損益 = 4,864 − 4,850 = 14(償還益)
「額面5,000 − 買入代価4,850 = 150の益」としないこと。未償却の割引額(10,000 − 9,728 = 272)の半分136をまだ費用にしていないので、その分だけ益が小さくなる。
会社法で発行が認められた社債の種類として正しい組み合わせはどれか。
社債の発行価額と額面金額の差額が金利の調整と認められる場合の処理方法として、認められているものはどれか。
額面10,000円、発行価額9,600円、期間3年、約定利子率年4%、実効利子率年5.5%の社債について、利息法による1年度目の社債利息はいくらか。
社債の帳簿価額が9,728円のときに、額面5,000円分(帳簿価額の半分に相当)を4,850円で買入償還した。社債発行費はないものとして、社債償還損益はいくらか。
分割償還がある場合も同じで、償還した期の期末に帳簿価額から償還額を差し引き、翌期はその残高に実効利子率を掛ける。
5. 社債発行費との区別
社債の額面と発行価額の差額(社債発行差金)は、繰延資産にはならない。社債の帳簿価額に含めて償却原価法で処理する。一方、印刷費や引受手数料などの社債発行費は繰延資産に計上でき、社債の償還までの期間にわたり利息法で償却する(継続適用を条件に定額法も可)。両者が同じ問題に同時に出ることがあり、その場合は利息発生額を差額の比で按分する。
6. 買入償還
満期前に市場から社債を買い入れて消却したときは、減額する社債の帳簿価額と、支払った買入代価および取り崩す社債発行費との差額を社債償還損益として計上する。
帳簿価額は「額面」でも「発行価額」でもなく、買入直前の償却原価である点に注意する。
2020年度問題5(2)は平価発行の社債について、実効利子率を(額面/(額面−発行費))の期間乗根から逆算し、(3,000,000−100,000)×0.0085=24,650、翌年 2,924,650×0.0085=24,860 と積み上げている。定額法とは毎年の額が変わる点が違う。