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確率・用語・離散分布
袋の中の当たりくじを「引いたら戻さない(非復元)」で何本か取り出したときの、当たりの本数の分布です。引くたびに袋の中身が減っていくので、毎回同じ確率で独立に試行する二項分布とは似て非なるものになります。保険でいえば、ある保険集団から重複なく数件を抜き出して該当件数を数える、といった場面に対応します。
いずれも「有限の母集団から戻さずに(非復元で)何個か抜き取り、当たりの個数を数える」場面です。各回の抽出が独立でない(引くと母集団が減る)点が、独立試行を前提とする二項分布との決定的な違いです。
超幾何分布
超幾何分布は、 個のうち 個が「当たり」である有限の母集団から、戻さずに(非復元で) 個を抜き取ったときの、当たりの個数 が従う分布です。確率質量関数は
確率質量関数
(当たり8枚を含む20枚から戻さず5枚)のとき、平均は
超幾何分布が二項分布と本質的に違う点は?
の超幾何分布の平均 は?
超幾何分布の分散が同じ の二項分布より小さいのはなぜ?
個中 個が当たりの母集団から非復元で 個抽出したときの当たり数の分布。
平均と分散を見ると、この違いがはっきりします。期待値は で、 とおけば二項分布の とまったく同じ形です(平均は非復元でも変わらない)。ところが分散は となり、二項分布の に有限母集団修正項 が掛かります。この修正項は なら必ず より小さいので、超幾何分布の分散は同じ の二項分布より常に小さくなります。直感的には、非復元では「当たりを引きすぎると残りの当たりが減って次は引きにくくなる」という負のフィードバックが働き、結果が平均の周りに集まりやすくなるためです。
そして を大きくしていくと、 なので修正項が消え、超幾何分布は 固定のもとで二項分布 に近づきます。母集団が抜き取り数に比べて十分大きければ「戻しても戻さなくてもほぼ同じ」になる、という実感に合致します。ここで ポアソン近似( で二項→ポアソン)と収束の向きが違う点に注意してください。超幾何→二項は「母集団 を大きくする」近似、二項→ポアソンは「試行数 を大きく成功率 を小さくする」近似で、近づける対象も条件も別物です。実務では、抜き取り検査のように母集団が小さく非復元性が無視できない場面で超幾何分布を、母集団が大きければ簡便な二項分布を使う、と切り替えます。
平均は二項と同形
。 とおけば二項の と同じ。平均は非復元でも変わらない。
有限母集団修正で分散小
。修正項 なので二項より常に分散が小さい。
二項への収束
( 固定)で修正項 となり 二項分布 に近づく。母集団が大きければ二項で代用可。
ポアソン近似と向きが違う
超幾何→二項は を大きくする近似。ポアソン近似(二項→ポアソン)は 大・ 小の近似で別物。
分散は 。
同じ の二項分布の分散 より小さい(修正項 が掛かるため)。
ちょうど2枚当たる確率は 。