逓増・逓減年金とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・年金数理の基礎
ひとことで言うと
毎年1ずつ増える年金は基数をもう1段積んだ Sx で、毎年 j パーセントずつ増える年金は利率を実質利率に置き換えるだけ。同じ「逓増」でも道具がまったく違う。
基数の累和を1段増やすと、支払の重みが「毎年1」から「1,2,3,…」に変わることを示した図。定額の終身年金 2.932 に対し、逓増年金は 6.291 になる。
数式で表すと
(Ia¨)x=DxSx,年 j 逓増⇒i′=1+j1+i−1 一定額の逓増(1,2,3,… と増える)
N をもう一段累和した Sx=Nx+Nx+1+⋯
試験に出る性質
(Ia¨)x=Sx/Dx
例で見る
<計算の前提> 受給者用の相棒モデル(`NEN007` と同じ表)。予定利率2.0パーセント。
D60=1,000.000000、N60=2,932.100022
つまずきポイント
- 一定率の逓増で i′=i−j とする。正しくは 1+j1+i−1=1+ji−j
定着クイズ
Q1D60=1,000、N60=2,932.100、N61=1,932.100、N62=1,049.747、N63=376.929、N64=0 のとき、毎年1ずつ増える期始払逓増年金 (Ia¨)60 の値に最も近いものはどれか。
Q2年金額が毎年一定率 j で増えていく年金を、定額年金として評価し直すときに用いる実質利率 i′ として正しいものはどれか。
Q3期始払で n 年間 n,n−1,…,1 と減る逓減年金 (Da¨)x:n を、定額年金と逓増年金で表した式として正しいものはどれか。
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年金額が毎年一定額(または一定率)ずつ増減する年金の現価。物価スライド・段階年金の評価に用いる。一定率で増える場合は利率を実質利率に置き換えて評価できる。
を使って
(Ia¨)x=DxSx
D を足すと N、N を足すと S。累和を1段増やすたびに「1,2,3,…」の重みが1段増える。
n 年有期で n,n−1,…,1 と減る年金は
(Da¨)x:n=(n+1)a¨x:n−(Ia¨)x:n
「毎年 n+1 払う定額年金」から「1,2,3,… の逓増」を引くと n,n−1,… が残る、というだけの式である。
年金額が 1,(1+j),(1+j)2,… と増えるときは、(1+j)t と vt をまとめて
i′=1+j1+i−1,v′=1+i1+j
とし、\textbf{予定利率を i′ に置き換えた定額年金}として評価する。年金額の初項は1のままでよい。
\textbf{i′ は i−j ではない}
1+j1+i−1=1+ji−j なので、i−j より必ず小さい。j が大きいほど差は開く。j>i なら i′<0 で v′>1 になり、割引が「増価」に変わる。表が有限なら計算はできるが、無限に続く年金では発散する。
で、
は
の累和
D を足すと N、N を足すと S。累和を1段増やすたびに支払の重みが1段上がる。数値例では S60/D60=6.290876 が、重みを直接掛けた 1×1+2×0.882353+3×0.672818+4×0.376929 と一致する。
逓減は (n+1)a¨−(Ia¨) で出る
「毎年 n+1 払う定額年金」から「1,2,3,… の逓増」を引くと n,n−1,…,1 が残る。数値例では 5×2.932100−6.290876=8.369624 で直接計算と一致する。逓減を別に足し上げる必要はない。
一定率の逓増は実質利率 i′=1+j1+i−1 への置き換えだけ
(1+j)tvt=(v′)t とまとめられるので、年金額を1に固定したまま利率だけ差し替えればよい。基数表を作り直す必要はなく、v を v′ に置き換えて同じ足し算をする。
i′ は i−j ではない
1+j1+i−1=1+ji−j なので i−j より必ず小さい。i=0.02,j=0.01 でも現価が 2.965869 と 2.965532 でずれる。j が大きいほど差は開くので、物価スライドの設問では必ず正しい式で置き換える。
j>i なら i′<0 で割引が増価に変わる
v′>1 になるので、支払が先にあるほど現価が大きくなる。脱退残存表が有限なら計算はできるが、無限に続く年金では発散する。有期の設問でしか出てこないのはこのため。
、
N61=1,932.100022 、
N62=1,049.747081 、
N63=376.928934
S60=N60+N61+N62+N63=6,290.876058
(Ia¨)60=1,0006,290.876058=6.290876
1×1.000000+2×0.882353+3×0.672818+4×0.376929=6.290876
4×1.000000+3×0.882353+2×0.672818+1×0.376929=8.369624
恒等式で検算 (4+1)×2.932100−6.290876=14.660500−6.290876=8.369624 ⇒ 一致する。
(3) 毎年1.0パーセント逓増($j=0.01$)
i′=1.011.02−1=0.009901、v′=0.990196
a¨60′=1+0.990196×0.9+0.9901962×0.7+0.9901963×0.4=2.965869
\textbf{(4) i′=i−j とした場合}
i−j=0.01 で計算すると 2.965532。正しい 2.965869 との差は 0.000337 で、有効数字4桁の選択肢では切れない。j を大きくすると差は急速に開く。
で、
より必ず小さい。数値例でも 2.965869 と 2.965532 で末尾が割れ、選択肢では切れない。
(Ia¨)x の分子に Nx を置く。Nx/Dx は定額の終身年金 2.932100 で、逓増の 6.290876 とはまったく別の量である。累和を1段増やしたか必ず確認する。 一定額の逓増と一定率の逓増を混同する。(Ia¨) は毎年1ずつ増えるもので、毎年1パーセントずつ増えるものではない。前者は Sx、後者は実質利率で、道具が入れ替わらない。