読み込み中…
読み込み中…
会計・用語・会計制度・ガバナンス
会社が外部に出す会計情報には、法律で「出せ」と決められているものと、そうでないものがある。ESG情報は後者、つまり法律の強制によらない開示から育ってきた情報で、環境・社会・企業統治という3つの切り口で会社の取り組み具合を測ったもの。試験で問われるのは、この3語が何の頭文字かという1点にほぼ集約される。
ESG情報は制度会計以外の財務会計に位置づけられる。ただしサステナビリティ情報の一部は、有価証券報告書の記載事項として制度会計の側に取り込まれている。
持続可能な社会の形成に向けて企業が配慮すべき、環境(environment)の保護・社会的(social)責任・企業統治(governance)に関する課題の達成度を測った情報。制度会計以外の財務会計に位置づけられる。
財務会計(企業が外部の利害関係者に報告する会計)は、法律にもとづいて作成が強制されるかどうかで2つに分かれる。
・制度会計……会社法会計(計算書類)、金融商品取引法会計(財務諸表)、税務会計(税務申告書) ・制度会計以外の財務会計……ESG情報、統合報告書、環境報告書など
ESG情報は後者に属する。ESGは 環境(environment)の保護、社会的(social)責任、企業統治(governance) の頭文字で、持続可能な社会の形成に向けて企業が配慮すべきこれらの課題について、達成度を測った情報をいう。投資家が中長期の企業価値を評価するときの判断材料として使われる。
財務諸表の数値そのものではないため、ESG情報を含むこの種の情報は 非財務情報 と総称される。
ただし「制度会計以外」という位置づけは固定ではない。2023年3月期以降、有価証券報告書には「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が設けられており、この部分は金融商品取引法にもとづく法定の開示事項になっている。記載欄は次の4つで構成される。
・ガバナンス……全企業が記載する ・リスク管理……全企業が記載する ・戦略……各企業が重要性を判断して記載する ・指標及び目標……各企業が重要性を判断して記載する
あわせて「従業員の状況」欄では、女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金差異という多様性の指標の開示が求められる。
国際的には、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が IFRS S1・S2 を公表し、日本ではサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が2025年3月にこれに相当する日本版の基準を公表した。適用は2027年3月期以降、プライム市場の大きな企業から段階的に始まる予定である。
ESGは環境(environment)の保護・社会的(social)責任・企業統治(governance)の頭文字である
2021年度問題2(3)・2024年度問題2(5)の2回とも、問われたのはこの3語の言い換えの当否だけだった。誤りの肢に使われた語は economy・ethics(Eの偽物)、sustainability(Sの偽物)、goal(Gの偽物)。
ESG情報は制度会計以外の財務会計に位置づけられる
2021年度問題2(3)の設問文、2024年度問題2(5)の解答例のいずれにも「制度会計以外の財務会計のひとつである」という限定句が入る。単なる用語問題ではなく、財務会計の体系のどこに置くかまで込みの論点である。
ESG情報とは、持続可能な社会の形成に向けて企業が配慮すべき課題の達成度を測った情報をいう
定義文は2021年度と2024年度の解答例でほぼ同一の言い回しが繰り返されている。定義文がそのまま語句空欄や正誤の肢になりうる形なので、文として覚えておく価値がある。
有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載は、金融商品取引法にもとづく法定の開示事項である
2023年1月の開示府令改正で記載欄が新設され、2023年3月期決算企業から適用されている。ESG情報そのものは制度会計以外だが、この記載欄の部分は制度会計の枠内にある。
記載欄のうちガバナンスとリスク管理は全企業が開示し、戦略と指標及び目標は各企業が重要性を判断して開示する
4つの構成要素のうち、必須の2つと重要性判断の2つが分かれる。どちらがどちらかを入れ替えた肢は作りやすいので、対にして覚える。
例1:ESGの3語を判定する
次の記述の当否を判定する。
(1) Eは経済(economy)に関する課題を指す → 誤り。Eは環境(environment)。
(2) Sは持続可能性(sustainability)に関する課題を指す → 誤り。Sは社会的(social)責任。
(3) Gは企業統治(governance)に関する課題を指す → 正しい。
(2) が最も引っかかりやすい。「サステナビリティ」という語はESGの文脈で頻繁に出てくるが、ESGのSではない。ESG全体が目指すもの(持続可能な社会)と、Sが指すもの(社会的責任)は別物である。
例2:開示の位置づけを判定する
(1) 会社法にもとづく計算書類 → 制度会計
(2) 金融商品取引法にもとづく財務諸表 → 制度会計
(3) 企業が任意に公表する統合報告書 → 制度会計以外
(4) ESG情報 → 制度会計以外
(5) 有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載 → 金融商品取引法にもとづく法定の記載事項なので制度会計
(4) と (5) は一見矛盾して見えるが、「ESG情報という情報の種類」と「有価証券報告書という開示媒体」を分けて考えればよい。試験で位置づけを問われているのは (4) のほう。
ESGの各文字が指す課題の組み合わせとして正しいものはどれか。
ESG情報の位置づけに関する記述として正しいものはどれか。
有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄に関する記述として誤っているものはどれか。