F分布とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass確率・用語・標本分布族(χ²・t・F)
ひとことで言うと
独立な2つのカイ二乗を、それぞれの自由度で割ってから比をとった分布がF分布です。「2つのばらつき(分散)の比」を扱う検定の基準分布で、分散分析や回帰の全体検定で主役になります。t 分布とも深いつながり(t2 がFになる)があります。
こんなデータが従う
2つの独立な標本分散の比2標本の分散の等質性検定(F検定)の統計量分散分析(ANOVA)のF統計量重回帰分析の全体検定(モデルが有意か)の統計量2つの正規母集団の分散比の信頼区間
F分布は分散・ばらつきの比を測る場面に現れる。分散分析や回帰のF検定では、群間/回帰で説明される分散と、群内/残差の分散の比がF分布に従う。
F分布の密度曲線(0以上の値だけをとり右に長い裾を引く非対称な形)と、上側臨界点より右の棄却域(斜線)。F分布は独立な2つのカイ二乗を自由度で割った比の分布で、分散比が有意に大きいときに右裾の棄却域に落ちる。
数式で表すと
F=W2/k2W1/k1∼F(k1,k2) F分布は、独立な2つのカイ二乗分布 W1∼χ2(k1)、W2∼χ2(k2)
試験に出る性質
定義
独立な χ2 の自由度調整した比 F=W2/k2W1/k1∼F(k1,k2)
例で見る
t検定の例は n=16(自由度15)、t=2.0、両側5%臨界値 t0.025,15=2.131
つまずきポイント
- 分子・分母の自由度の順序を取り違える(F(k1,k2) は分子が k1
定着クイズ
Q2T∼t(k) のとき T2 は何に従うか?
Q3自由度15の t の両側5%臨界値が 2.131 のとき F0.05,1,15 は?
独立な2つのカイ二乗を自由度で割った比の分布。分散比の検定に使う。
(
)を、それぞれの自由度で割ってから比をとった統計量
F=W2/k2W1/k1∼F(k1,k2)
が従う分布です。
を分子自由度、
を分母自由度と呼びます。カイ二乗の比なのでF値は必ず0以上で、図のように右に長い裾を引く非対称な形になります。用途の中心は「2つの分散(ばらつき)の比」を扱うことで、2つの母分散が等しいかを調べるF検定、複数群の平均を一度に比べる分散分析(ANOVA)、重回帰でモデル全体が有意かを調べる全体検定など、分散比が出てくる場面で必ず登場します。
F分布で試験的に最重要なのが t 分布との関係です。結論を先に書くと
T∼t(k) ⟹ T2∼F(1,k)
です。導出は定義をたどるだけです。t 分布は T=Z/W/k(Z∼N(0,1)、W∼χ2(k)、両者独立)と定義されます(t分布)。両辺を2乗すると
T2=W/kZ2=W/kZ2/1
ですが、標準正規の2乗は自由度1のカイ二乗、すなわち Z2∼χ2(1) です。すると T2 は「χ2(1) を自由度1で割ったもの ÷ χ2(k) を自由度 k で割ったもの」となり、F分布の定義そのままで F(1,k) になります。
この関係は数値でも確かめられます。t検定の例では n=16(自由度15)、t=2.0、両側5%の臨界値が t0.025,15=2.131 でした。上の関係から、自由度 (1,15) のF分布の上側5%点はこの t 臨界値の2乗に一致し
F0.05,1,15=t0.025,152=2.1312≈4.541
が成り立ちます(一般に tα/2,k2=Fα,1,k)。t検定をすでに学んだ人にとっては「知っている 2.131 を2乗しただけ」でF分布の臨界値が得られる、という見方ができます。その他の有用な性質として、分子と分母を入れ替えるだけの逆数関係 1/F(k1,k2)∼F(k2,k1)、および平均 E[F]=k2/(k2−2)(k2>2 のとき。分母自由度が小さいと平均が大きくなる)があります。
。値は0以上で右に歪む。
用途
2分散の等質性検定、分散分析(ANOVA)、重回帰の全体検定など分散比を扱う場面の基準分布。
t分布との関係
T∼t(k) なら T2∼F(1,k)。T=Z/W/k を2乗し Z2∼χ2(1) を使えば定義そのまま。
逆数の関係
1/F(k1,k2)∼F(k2,k1)。分子・分母を入れ替えると自由度も入れ替わる。
平均
E[F]=k2/(k2−2)(k2>2)。分母自由度が小さいほど平均が大きく、裾も重い。
だった。
T2∼F(1,k) の関係から、自由度 (1,15) のF分布の上側5%点はこの2乗に一致し
F0.05,1,15=t0.025,152=2.1312≈4.541(一般に tα/2,k2=Fα,1,k)。
、分母が
。逆数で
F(k2,k1) になる)
カイ二乗をそのまま比にする(自由度で割ってから比をとる。F=(W1/k1)/(W2/k2)) t2∼F(1,k) の関係で自由度を混乱する(分子自由度は必ず1。分母は t の自由度 k がそのまま)