十分統計量
知識マップ統計・用語
ひとことで言うと
十分統計量とは、データを要約しても『母数 についての情報を一切失わない』統計量です。たとえばポアソンや指数分布では、個々の観測値をすべて覚えておかなくても、和 だけ知っていれば の推定に必要な情報はすべて手に入ります。データ圧縮の理論的な核心です。
因数分解定理 。同時尤度のうち を含むのは だけなので、 さえ知れば の情報は尽きる。ポアソンでは が十分統計量。
数式で表すと
母数に関する情報を余さず含む統計量。ポアソン・指数では 。
試験に出る性質
定義
を与えたときの条件付き分布 が に依存しない統計量。 を超えて の情報は得られない。
因数分解定理
と分解できれば は十分。 が尤度に入る経路が を通してだけ。
ラオ–ブラックウェル
不偏推定量を十分統計量で条件付き期待 すると、不偏のまま分散が下がる。
UMVUEへの足場
最良の不偏推定量は十分統計量の関数の中に探せばよい。点推定の効率化の出発点。
代表例
ポアソン・指数では 、正規(分散既知)では が十分。和に要約しても情報は失われない。
例で見る
ポアソン分布で が十分統計量であることを因数分解で確認する。 。 ( はここだけ)、( なし)。 は十分統計量。
つまずきポイント
- 十分統計量を『 の良い推定量』と混同する(情報を要約する量であり、それ自体が推定値とは限らない)
- 因数分解で に が紛れ込むのを見落とす( は を含まない。台が に依存する非正則モデルでは注意)
- 十分統計量は一意だと思う( の1対1変換も十分。 と はどちらも十分)
定着クイズ
十分統計量 の定義として正しいのは?
因数分解 が意味するのは?
不偏推定量を十分統計量で条件付き期待すると(ラオ–ブラックウェル)?
関連:#MLE
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