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会計・用語・会計制度・ガバナンス
会社の成績表は1年に1回では遅い。そこで年度の途中でも財務報告をさせるのが期中の財務報告である。論点は2つに分かれる。1つは制度の話で、どの書類をいつまでに出すか。2024年4月から四半期報告書が廃止され半期報告書に一本化された。もう1つは会計処理の話で、中間期間を年度と独立した期間とみるか(実績主義)、年度の一部とみるか(予測主義)。日本は実績主義だが、税金費用だけは年度の見積りを使う。
制度の層(どの書類をいつまでに出すか)と会計処理の層(実績主義と期中特有の処理)に分かれる。2024年4月から四半期報告書は廃止され半期報告書に一本化された。
事業年度より短い期間を対象とする財務報告。金融商品取引法上は、2024年4月1日以後に開始する事業年度から四半期報告書が廃止され、上半期を対象とする半期報告書に一本化された。半期報告書の提出期限は上半期末から45日以内、有価証券報告書は事業年度末から3か月以内である。第1・第3四半期は金融商品取引所の規則にもとづく四半期決算短信で開示する。会計処理は、中間会計期間を年度から独立した一会計期間とみる実績主義を原則としつつ、税金費用を年間見積実効税率で期間配分するなどの期中特有の処理を認める。企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」。
1. 制度|どの書類をいつまでに出すか
金融商品取引法上の開示書類と提出期限は次のとおりである。
・有価証券報告書 … 事業年度末から3か月以内 ・半期報告書 … 上半期末から45日以内
2024年4月1日以後に開始する事業年度から、四半期報告書は廃止され半期報告書に一本化された。廃止前は、第1から第3までの各四半期末から45日以内に四半期報告書を提出していた。
第1・第3四半期については、金融商品取引所の規則にもとづく四半期決算短信で開示する。決算短信は取引所の規則によるものであり、金融商品取引法上の法定開示書類ではない。
2. 会計処理|実績主義と予測主義
中間会計期間の財務諸表をどう作るかには2つの立場がある。
・実績主義 … 中間会計期間を年度から独立した一会計期間とみて、年度と同じ会計処理を行う ・予測主義 … 中間会計期間を年度の一部とみて、年度の予想を期間配分する
日本基準は実績主義を原則とする。実績主義のほうが、恣意的な見積りが入りにくく、期中の実績をそのまま示せるからである。
3. 期中特有の会計処理
実績主義を原則としながら、次のものは例外として年度の見積りを使う。
・税金費用 … 税引前中間純利益に年間見積実効税率を乗じて計算する ・原価差異の繰延べ … 操業度等の季節的な変動に起因する原価差異のうち、年度末までに解消が見込まれるものを繰り延べる
年間見積実効税率は、年間の予想税引前利益と、予想される加減算項目・税額控除額から求める。年度決算と同じ方法で計算した金額とは一致しないのが普通である。
4. 開示の簡素化
期中の財務報告は速報性が求められるため、年度に比べて開示は簡素化される。注記事項も、年度で開示した内容から重要な変動があった部分を中心に記載する。
5. 出題のされ方
制度側は提出期限と書類の対応が問われる。会計処理側は年間見積実効税率による法人税等の計算が問われる。どちらも配点は1点前後だが、制度側は改正が続いているので、解くときにどの年度の制度を前提にしているかを確かめる必要がある。
2024年4月1日以後に開始する事業年度から、四半期報告書は廃止され半期報告書に一本化された
半期報告書の提出期限は上半期末から45日以内。第1・第3四半期は金融商品取引所の規則にもとづく四半期決算短信で開示する。2025年度問題1(3)が半期報告書の期限を、2018年度問題1(3)が廃止前の四半期報告書の期限を問うている。
有価証券報告書の提出期限は事業年度末から3か月以内である
半期報告書の45日以内と混同しやすい。単位も「3か月」と「45日」で揃っていないので、日数に直して覚えない。
日本基準は実績主義を原則とする
中間会計期間を年度から独立した一会計期間とみて、年度と同じ会計処理を行う。年度の予想を期間配分する予測主義は原則として採らない。恣意的な見積りが入りにくいことが理由である。
税金費用は期中特有の処理として、年間見積実効税率を税引前中間純利益に乗じて計算する
年間見積実効税率は、年間の予想税引前利益・予想加減算項目・予想税額控除額から求める。2018年度問題5(2)と2024年度問題5(3)がこの計算を出題している。
季節的変動に起因する原価差異のうち、年度末までに解消が見込まれるものは繰り延べる
実績主義の例外の2つ目。操業度差異のように期中だけ生じる差異を、そのまま中間の損益に載せない。
例1:提出期限
3月31日決算の上場会社について、金融商品取引法上の提出期限を答える。
・有価証券報告書 … 事業年度末(3月31日)から3か月以内
・半期報告書 … 上半期末(9月30日)から45日以内
2025年度問題1(3)はこの2つを組み合わせて問うた。四半期報告書の45日以内は、2024年3月期までの制度である(2018年度問題1(3)はこちらを問うている)。
例2:年間見積実効税率による法人税等
第1四半期の実績と年間の予想が次のとおりだった。
・第1四半期の税引前四半期純利益 … 300,000千円
・年間の予想税引前当期純利益 … 1,000,000千円
・年間の予想将来減算一時差異の増加額 … 100,000千円
・年間の予想永久差異(損金不算入)… 50,000千円
・年間の予想税額控除額 … 20,000千円
・法定実効税率 … 30パーセント
年間の予想課税所得 = 1,000,000 + 100,000 + 50,000 = 1,150,000千円
年間の予想税金費用 = 1,150,000 × 30パーセント ー 20,000 ー 100,000 × 30パーセント = 314,500千円
ここで将来減算一時差異にかかる 30,000千円は税効果会計で繰延税金資産となるので、税金費用(法人税等調整額を含む)からは落ちる。
年間見積実効税率 = 314,500 ÷ 1,000,000 = 31.45パーセント
第1四半期の税金費用 = 300,000 × 31.45パーセント = 94,350千円
3月31日を決算日とする上場会社について、金融商品取引法上の半期報告書の提出期限として正しいものはどれか。
中間会計期間の財務諸表の作成について、日本基準が原則として採る立場はどれか。
期中の財務報告における税金費用の計算方法として正しいものはどれか。
例3:年度決算と同じ方法によった場合
同じ資料で、第1四半期の実績にもとづいて年度決算と同じ方法で計算すると、第1四半期に実際に生じた加減算項目だけを使う。したがって年間の予想を用いた金額とは一致しない。2018年度問題5(2)は、この2つの方法を(ア)(イ)で並べて問うた。