確率・用語
ひとことで言うと
無相関とは Cov(X,Y)=0、つまり直線的な連動がないこと。よくある誤解が『無相関=独立』ですが、これは一般には間違いです。無相関でも、曲線的な強い依存が残っていることがあります。その正面からの反例を押さえるのがこの項の核心です。
無相関でも独立でない典型反例。X∼U{−1,0,1}、Y=X2。E[XY]=E[X3]=0 なので Cov(X,Y)=0(無相関)だが、X が分かれば Y は完全に決まるので独立でない。2変量正規に限れば無相関 ⇒ 独立(C017)。
数式で表すと
Cov(X,Y)=0
Cov=0。独立なら無相関だが、逆は一般に成り立たない(正規なら同値)。
無相関とは共分散がゼロ、Cov(X,Y)=0(同値に相関係数 ρ=0)の状態をいいます。共分散は2変数の直線的な連動を測る量なので、無相関は『線形な関係がない』ことを意味します。ここで決定的に重要なのが、独立と無相関の一方向だけの含意です。独立ならば無相関は常に成り立ちます(独立なら E[XY]=E[X]E[Y] なので Cov=0)。しかしその逆『無相関ならば独立』は一般には成り立ちません。無相関は独立より弱い条件なのです。なぜなら共分散が捉えるのは線形な連動だけで、X と Y が曲線的(非線形)に強く依存していても、その依存が線形成分として相殺されれば Cov=0 になりうるからです。
この『無相関だが独立でない』を正面から示す古典的反例を見ましょう。X が {−1,0,1} に一様分布(各確率 1/3)し、Y=X2 と定義します。Y は X から完全に決まるので、両者にはこれ以上ないほど強い依存があります。それでも共分散を計算すると——E[X]=0、E[Y]=E[X2]=2/3、そして E[XY]=E[X3]=(−1+0+1)/3=0。したがって
Cov(X,Y)=E[XY]−E[X]E[Y]=0−0⋅32=0
で無相関です。一方、P(Y=1∣X=1)=1=32=P(Y=1) なので独立ではありません。共分散が拾うのは線形成分だけなので、Y=X2 という左右対称な放物線的依存は、正の側(X=1)と負の側(X=−1)の寄与が打ち消し合って Cov=0 になる——けれど依存そのものは厳然と残っています。
ただし例外があります。X,Y が2変量正規分布に従う場合に限っては、無相関 ⇒ 独立が成り立ちます(ρ=0 を同時密度に入れると fX(x)fY(y) の積に因数分解されるため)。だから『無相関ならば独立』が使えるのは2変量正規という特別な前提があるときだけと覚えてください。一般の分布では無相関は独立より弱く、上の Y=X2 のような反例がいつでも存在しうる——この非対称な関係(独立 ⇒ 無相関は真、逆は2変量正規でのみ真)が試験で最も問われるポイントです。試験に出る性質
定義
Cov(X,Y)=0(ρ=0)。直線的な連動がない状態で、E[XY]=E[X]E[Y] と同値。
独立→無相関は常に真
独立なら E[XY]=E[X]E[Y] から必ず無相関。含意は一方向に必ず成り立つ。
無相関→独立は一般に偽
無相関は独立より弱い。非線形な依存が線形成分として相殺されれば Cov=0 でも依存しうる。
典型反例 Y=X²
X∼U{−1,0,1},Y=X2 は Cov=0 だが X が Y を完全に決める。無相関でも強い依存の例。
2変量正規では同値
2変量正規に限り無相関 ⇒ 独立(C017)。同時密度が積に因数分解されるため。これは正規特有の例外。
例で見る
X∼U{−1,0,1}(各 1/3)、Y=X2。
E[X]=0、E[Y]=E[X2]=32、E[XY]=E[X3]=0。Cov(X,Y)=0−0⋅32=0(無相関)。
だが P(Y=1∣X=1)=1=32=P(Y=1) なので独立でない。X が Y を完全に決める強い依存があるのに無相関。
つまずきポイント
- 『無相関ならば独立』を一般の分布で使う(一般には偽。Y=X2 のように無相関でも強く依存する例がある。逆向き『独立→無相関』だけが常に真)
- 無相関を『何の関係もない』と解釈する(無相関は線形な関係がないだけ。曲線的な依存は残りうる)
- 2変量正規の例外を忘れる(無相関 ⇒ 独立が言えるのは2変量正規のときだけ。前提を必ず確認する)
定着クイズ
無相関と独立の正しい関係は?
X∼U{−1,0,1},Y=X2 について正しいのは?
『無相関ならば独立』が成り立つのは?