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モデリング用語

ひとことで言うと

現在の値が、直前の値に係数φを掛けたものに新しいランダムな変動(誤差項)を加えて決まる、時系列データの基本モデルです。

こんなデータが従う

保険の損害率や金利の時系列モデル株価リターンの時系列モデル季節性を除いた時系列データのモデリング経済指標(GDP成長率など)の時系列分析死亡率の時間的なトレンドのモデリング

時系列データの「前の値に引かれる」性質をモデル化する最も基本的な手法で、ARIMAなどより複雑なモデルの土台になります。

AR(1)過程の時系列。一定の平均の周りを変動し、|φ|<1ならいつかは平均に引き戻されるφ=0.6:前の値に引かれつつランダムに変動平均μYtt

AR(1)過程の時系列。一定の平均の周りを変動し、|φ|<1ならいつかは平均に引き戻される。

数式で表すと

μ=c1ϕ, γ0=σ21ϕ2, ρk=ϕk\mu=\tfrac{c}{1-\phi},\ \gamma_0=\tfrac{\sigma^2}{1-\phi^2},\ \rho_k=\phi^k

自己回帰モデル。AR(1) は Yt=c+ϕYt1+εtY_t=c+\phi Y_{t-1}+\varepsilon_tϕ<1|\phi|<1 で定常。

AR(1)(1次の自己回帰)モデルは Yt=c+ϕYt1+εtY_t=c+\phi Y_{t-1}+\varepsilon_t という式で表され、現在の値YtY_tが直前の値Yt1Y_{t-1}に係数φを掛けたものと定数c、そして独立なランダムな誤差項εt\varepsilon_tの合計で決まります。 このモデルが定常(concept: 定常性)であるためには ϕ<1|\phi|<1 が必要です。この条件のもとで、平均は μ=c1ϕ\mu=\dfrac{c}{1-\phi}、分散は γ0=σ21ϕ2\gamma_0=\dfrac{\sigma^2}{1-\phi^2}(σ²は誤差項の分散)、k期離れた自己相関は ρk=ϕk\rho_k=\phi^k となります。φが1に近いほど自己相関が長く続き(値の変化がゆっくり)、φが0に近いほど各時点の値はほぼ独立に近い振る舞いをします。 |φ|≥1の場合は非定常(分散が時間とともに増大したり、ランダムウォーク(concept: ランダムウォーク)のように発散したりする)になり、AR(1)の標準的な公式(平均・分散・自己相関)は使えなくなります。

試験に出る性質

モデルの式

Yt=c+ϕYt1+εtY_t=c+\phi Y_{t-1}+\varepsilon_t

定常条件

ϕ<1|\phi|<1

平均

μ=c/(1ϕ)\mu=c/(1-\phi)

分散

γ0=σ2/(1ϕ2)\gamma_0=\sigma^2/(1-\phi^2)

自己相関

ρk=ϕk\rho_k=\phi^k(k期離れた値との相関。φが1に近いほど減衰が遅い)。

例で見る

c=2, ϕ=0.5, σ2=4c=2,\ \phi=0.5,\ \sigma^2=4 のAR(1)過程の平均は μ=2/(10.5)=4\mu=2/(1-0.5)=4、分散は γ0=4/(10.25)=16/35.33\gamma_0=4/(1-0.25)=16/3\approx5.33。1期離れた自己相関は ρ1=0.5\rho_1=0.5

つまずきポイント

  • |φ|<1の定常条件を確認せずに平均μ=c/(1-φ)の公式を使う(φ=1だと分母が0になり破綻する)
  • 自己相関ρkをφ×kのように線形に減衰すると誤解する(正しくはφ^kの指数的な減衰)
  • AR(1)の誤差項εtが各時点で独立であるという前提を忘れる

定着クイズ

AR(1)モデル Yt=c+φYt-1+εt が定常であるための条件は?

c=3, φ=0.4のAR(1)過程の平均μは?

AR(1)過程のk期離れた自己相関ρkは?

この用語を扱う問題(6